「はじめまして、柏木と申します」 紹介してもらった弁護士さんは、柏木さんという四十代くらいの女性だった。 「竹中です。よろしくお願いします」 白と黒を基調とした清潔感のある広い応接室で、対面に座る。 ソファもふかふかで、使われている生地も肌触りがいい。 「早速ですが、現在のご両親と離籍したいとのことですが…」 「はい、元々二人とは他人みたいなものですし。 戸籍上の家族である限り、ずっと付き纏われるのは煩わしいので」