彼女に付けている護衛から連絡があった。

両親らしき男女と、口論になっていると。


ちょうど車で近くを通っていたのですぐに駆け付けたが、

すでに彼女の頬が打たれた後だった。

それを見た瞬間あふれ出た感情は殺意だろうか。

グツグツと煮えたぎる激情をどこにぶつければいいのか。


だが、その前に彼女を安心させるのが先だ。

抱きしめた途端、涙を流す彼女が痛々しくて。

もっと早くに駆けつけられればと後悔した。

だが、護衛を付けていることを彼女にバレるわけにはいかない。