時雨は、俺を恨んでいるし、復讐のために恐らく動き出すはずだ。

その復讐に、彩羽ちゃんが、巻き込まれて
しまうかもしれない。

…というか、愛はもう既に巻き込まれて
しまっているのでは?

『…愛、目を覚ましなよ。

 愛が好きなのは、時雨だけでしょ?』

俺はあくまで、愛にとって兄みたいな
ものだし、愛だってそうだろう。

ずっと、見てきたから分かる。

愛が好きなのは、今も昔も時雨だけ。

愛を人が寄り付かない場所へ連れて行くと
説得しようと試みた。

俺は、もう幼なじみじゃないとしても、
二人のことは誰よりも知っている。

時雨は、愛の手前で憂さ晴らしに女遊び
をするなんて馬鹿なんじゃないかと
思っている。

…し、愛は愛で、時雨のことが好きなくせに、時雨の言葉に流されて利用されるなんて愚かだと思っている。

ほんと、何で自分も苦しいようなこと
を選んでするんだ。

それすらも、復讐だというのか?