怒る暇も、抵抗する暇もない。

…うん、桃李さんは強引だ。

後から二人も追いついて、四人でモール内を見て回る。

「あっ、あれかわいい!」

早速何かを見つけたらしい桃李さん。

いかにも、女子らしいフリル満載の洋服屋さんに目をつけた。

…あぁ、桃李さんに似合うなぁ。

私には、縁のないタイプの店だ。

「これ、あやに似合う!」

商品を手に掴んで、私に見せた桃李さん。

『えっ』

顔の血の気がサッと引いていくのが分かった。

「ねぇ、これ着てみてよ!」

笑顔で、無茶振りを要求してくるかわいい
桃李さん。

ブラックジョークか何か?

ごめん、全く笑えないわ。

『嫌です』

「なんで!?」

何で、はこっちが言いたいセリフだ。

フリルたっぷりのワンピースをオススメされて、《分かった♡着てみる!》となる奴は余程のナルシストか、桃李さんみたいな
美少女しかいないだろう。