***
《葵織side》
優結ちゃんがリビングから出ていって唖然とし、何が起きたのか分からなかった。
「――ねぇ、いいかしら。葵織」
低い声を出し、俺の名前を呼んだのは母さんだ。
「あなた、何を言ってんの?」
「それ、は……」
「あなたの言葉で、優結ちゃんは傷ついたのよ。優結ちゃんがいるとこで『好きじゃない』発言するなんて何を考えてるの? あなた、言ったわよね? 私たちの前で、優結ちゃんを幸せにするって。あの言葉はなんだったの?」
「好きって言葉じゃ現せないくらい、愛してるんだ。ただ、それを言って引かれないかと考えて――」
だが、俺の言葉を遮るように家のインターホンが鳴る。



