銃弾はデヴィッドの頬を掠め窓ガラスが派手に割れた。

「ひっ……」
声にならない声をデヴィッドが発する。
恐怖に慄いた顔を見て、急にむなしくなった。

警察に通報しようとスマホを手にした時、デヴィッドがいきなりドアを開けて、外に飛び出した。

「待て!」
デヴィッドを追いかけて、車外に出ると、こっちを向いたデヴィッドの手に銃が握られていた。

マズイ……。

そう思った瞬間、躊躇なくデヴィッドが銃を何発も撃って来た。
その内の一発が命中する。

銃弾を受けた瞬間、衝撃に体がゆっくりと宙に浮く。

目を閉じる瞬間、春音の笑顔が浮かんだ。

――お土産は何がいい?
――黒須が無事に帰って来てくれる事。

そう春音と約束した事を思い出した。

春音、ごめん……。