【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 歯医者に行く途中、私達の姿を見つけて丁度声を掛けようとしていた所だったらしい。

 そんな所にいきなり大声を出されたらそりゃあビックリもするだろう。


「んで? どうしたんだよ大声出して」


 ビックリもするし、気になるよね……。

 でも話して良い事なのかな?
 そもそも愛良のことは直接忍野君には関係無いし。


 私達と同じくらいか、ちょっと後に学校出てきたのなら隣のクラスの騒ぎは知らないだろうし……。


「えっとー……」

 言おうかどうか迷っていると、成り行きを見守っていた俊君が口を開いた。


「忍野先輩、でしたっけ?」

「え? あ、ああ」

 まさか俊君に話しかけられるとは思って無かったんだろう。
 忍野君は目に見えて戸惑っていた。


「その歯医者って、急ぎますか?」

「え? いや、家で昼メシ食ってからゆっくり行こうと思ってたからまだ余裕あるけど……」

 答えながら、戸惑いが困惑に変わっているみたいだ。


 私も困惑する。
 俊君は一体忍野君に何を聞きたいんだろう?


「それなら、聖良先輩を家まで送ってもらえませんか?」

『え?』

 思いもよらない頼み事に、私と忍野君の声が重なった。


「別に良いけど……。お前はどうすんの?」

 忍野君に頼むって事は、俊君は別行動をとると言っている様なものだ。