「からかわないでよ」

「ごめんごめん、でも格好良いと思ったのも本当よ?」

「ふふ……ありがとう」


 そうして笑い合った後、私は愛良の元へと向かった。

 愛良は会場で戦闘が始まる前には零士によって連れ出されていたらしい。

 事が終わった頃にはあてがわれた部屋に戻り、ベッドに寝かされていた。


「お姉ちゃん……綺麗……」

 会って第一声がそれだったせいもあって、心配していたのに気が抜けてしまう。

 偉そうな口調ではなくなっても最上の美しさはそのままなため、言いたくなるのも分かる気はするけれど……。


「愛良の方が綺麗だし可愛いぞ?」

 横になっている愛良の頭を愛おしそうに撫でながらそう言う零士は相変わらず。

 でも、始祖の魅力にすら惑わされないなんて逆にすごすぎる。

 今回ばかりはその愛良への思い、本気で称賛に値すると思った。


「どんな様子? 薬がまだ体に残っているんでしょう?」

 愛良に近付き状態をたずねる。

 吸血鬼なら少し時間を置けば分解出来るような量でも、人間である愛良はそう簡単にはいかない。

 体に影響が残るような薬ではないから、休んでいれば動けるようになるとはいえやっぱり時間はかかる。


「治してあげられればいいんだけど……」