場も治まり、何人か項垂れている人はいたけれど問題もなく解散となった。


 月原家の人達は監視付きで一先ずは帰すことになる。

 今回の件は吸血鬼同士の事件となるため、ハンター協会は手を出すことはないし出来ないのだそう。


 月原家に関しては後日吸血鬼達だけで処遇が決められるだろう、と田神先生が報告してくれた。

 どうなるかは分からないけれど、もう私達に手を出してくることはないだろう。


 ……私が相愛の誓いを宣言したとき、伊織は希望を見るような目をしていた。

 多分、シェリーのことを考えたんだろう。

 まあ、どうするのかは彼らの自由だ。

 これ以上関わってこないのならそれでいい。


 始祖としての力はまだ扱える状態だけれど、力も馴染んで口調や態度がもとに戻ったからだろうか。

 周囲も多少は緊張がほぐれたみたいだった。


「凄いことしちゃったわね?」

 苦笑気味にそう言って近付いてきた嘉輪に、私も苦笑いで返す。

「うん、自分でもビックリだよ。……でも、やらずにはいられなかったんだ」

 永人と共にあるために。
 誰にも邪魔をされないために。


「そうね。……格好良かったわよ? 『これは相愛の誓いである。何人たりとも引き離すことは許されない!』だったかしら?」

 わざわざ声マネまでして再現する嘉輪に唇を尖らせる。