ほぅ、と息をつく。

 これで、今度こそ誰にも私達を引き裂くことは出来ない。

 新月の夜が終わって始祖の力を使えなくなっても、だ。

 そのための契約。
 そのための誓いなのだから。


 永人に向き直り、そのことを告げる。

「永人……これでもう私達を邪魔するものはないよ」

 口調も戻って来た。
 始祖の力が馴染んできたみたい。

 その変化に目を瞬かせる永人に、私は幸せの笑みを向けた。


「私を奪っていいのはあなただけだよ、永人」

 目を見開いた永人は、「ははっ!」と声を上げて笑うといつもの不敵な笑みを浮かべる。

「ああ、お望み通り奪いつくしてやるよ。全霊を掛けて、お前のすべてを」

 そして、その言葉の通りに私を引き寄せ唇を奪う。


 周囲の目なんて、気にしなかった。