始祖の力を扱う私に、別人にでもなったかのように感じているのかも知れない。


 私はそんな永人に微笑んだ。

 大丈夫だよ、ちゃんとあなたのことが大好きな私だよ、と教えるように。


「っあ……」

 その瞬間、永人の顔が真っ赤に染まった。

 仕方ないこととはいえ、その素直すぎる反応に私の方が戸惑ってしまう。


 けれど、まずは彼の中から薬の成分を全て取り出さないと。

 私は腰を落として永人の首筋に指先を当てた。


 そして彼の血流を探り操る。

 薬の成分だけをかき集め、吐き出すように操作した。


「聖良?……これは、ぅぐっ」

 カハッと少量の血と共に薬の成分を吐き出す永人。

 そうすると目を瞬かせて軽く頭を振る。

 意識の方はすぐに明瞭になったはずだ。

 体も、すぐに自由に動けるようになる。


「聖良さん……いや、聖良様」

 先ほど吹き飛ばされていた田神先生も、ボロボロの状態で近付いて来るとすぐにひざまずく。

 その体勢ですら辛そうな彼に、私は「無理はしない様に」と伝えた。

 いまだに少し戸惑っている永人と共に立ち上がると、私は髪飾りも全て取り外し、いつものように髪をおろす。

 綺麗に結い上げてもらっていたのに、もうグチャグチャになってしまっていたから。