特殊な事情とか、紆余曲折あってとか、かなりぼかしてるなぁと思いながら説明を聞く。

 まあ、詳しく話すわけにもいかないし話すと長くなっちゃうもんね。

「そして、“花嫁”と純血種の血が混ざりあったことで、このお方は始祖の再来となりえる存在となりました」

 ザワリと、拍手よりも話し声の方が大きくなる。


「聞いてはいたが、何があってそんなことに?」
「本当に始祖の再来なの? 見た目は普通の吸血鬼にしか見えないわ」

 騒がしい中にもそんな声が聞こえた。


 まあ、疑問はごもっとも。

 始祖になりえるなんて言われたけれど、それは朔夜さんが言っただけだし。

 私も始祖としての力である欠けた球体が自分の中に取り込まれたのは分かったけれど、だからと言って何かが変わったようには思えなかった。


 ……まあ、寿命にも変化はなさそうだから私は良かったんだけれど。


 騒ぎが少し落ち着くと進行役の人が今度は嘉輪を紹介し、彼女が朔夜さんの言葉を伝えた。

 純血種の嘉輪が言うことで真実味が出たのか、純血種が言うならそうなんだろうという雰囲気になる。

 そうして挨拶がはじまった。


 一応メインは私なんだけれど、愛良も隣で一緒に挨拶を受けている。