月齢は特に気にしていなかったけれど、確かに今日は新月だ。

 前の嘉輪の上昇の月である満月の日から数えてみるとちょうど今日だった。


 今日のパーティーには朔夜さんの代理という事で嘉輪も参加している。

「私も全力で守るからね!」

 と頼もしい笑顔で言ってくれた親友は、先にパーティー会場へ正輝君のエスコートで向かっていた。


 何も起こらなければ良い。

 でも、みんなも警戒しているように月原家の人達は何か事を起こすだろう。


 予測でしかないそれは、彼らの今までの行動から確信としてみんなの中にあった。

 だから、警戒は必須。


 彼らがどういう行動に出るか分からない以上、私も自己防衛は必要だ。

 今日が新月なら、パワーアップできる夜まで引き伸ばせという永人の言葉も納得できる事だった。


「うん、分かった」

 しっかり頷くと、ちょうど会場のドアが開けられる。


 私達の会場入りだ。

「じゃあ、先に行くね」

 私の前にいた愛良が顔だけ振り向いてそう言うと、零士のエスコートで中に入って行く。


 パチパチと拍手の音が聞こえた。

「私達も行こうか」

 軽く深呼吸をしてうながすと、「ああ」と短い同意が返ってくる。


 私も愛良に続いて、永人のエスコートで会場入りをした。