【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 なんて言われたら、否定は出来ない。


 自分だけ人外だと、少し寂しく思ってしまった。

 そして、その寂しさを埋めてくれるのが誰なのかは分かりきっていたから。


「……別に」

 ここで、素直に「会いたかった」と言えればいいんだろうけど……。

 伝えるのが恥ずかしくて意地を張ってしまう。


 本当、私って可愛くない。


 でもそう思うたび、永人は楽しげに言うんだ。

「ウソついたって俺にはバレバレなんだけどなぁ?」

「っ!」

 自然と繋がれていた手が恋人繋ぎになる。
 指と指の間に永人の硬くて長い指が入ってきた。

 その指が、わざとらしく絡まってくるから一瞬で意識が手に集中してしまう。

「っ……んっ……永人?」

 何がしたいのか分からなくて聞くけれど、見上げた顔は意地の悪いニヤついた笑み。


 つい殴りたくなるような表情だけれど、今は何だか妖しさも見え隠れしていて……。


 絡められた指が持ち上げられて、永人の薄い唇に吸い寄せられる。

「会いたかったって言ってみろよ」

 吐息が私の指先にもかかり、恥ずかしい。

 妖艶さに吞まれそうで、ゴクリと唾を飲み込んだ。


「えと……別に言わなくても……」

 いいよね? という言葉は発する前に喉元で止まる。

 永人の柔らかい唇が私の指に触れたから。