愛良は会いたくないんじゃないだろうか?

 この間の様子を見る限りそんな感じがした。


 だから、田神先生へパーティーに参加することを話しに行く前に愛良に相談してみたんだ。


「もし嫌なら愛良は行かなくていいよ? 私だけで行くから」

 温泉帰り、自室に戻る前に愛良の部屋にちょっとお邪魔してそう話した。


「え……」

「詳しくは知らないけれど、月原家の人と何か色々あったんでしょう? 会うのも嫌なら、無理する必要はないって」

「……でも、お姉ちゃんは行くんでしょう?」

「まあ、うん」

 頷く私に愛良はくっきりと眉間にしわを寄せる。


「田神先生の話、聞いたでしょう? あの人達が私にしようとしていたことをお姉ちゃんにするだろうって」

「うん……何をするのかは分からないけど、良いことじゃないのは確かなんだよね?」

「それが分かってても行くの?」

 重ねて聞くのは私を心配してくれているからだって分かる。

 行かないって言った方が愛良は安心するだろうってことも。


 でも……。


「うん、行くよ。私、みんなを信じるって決めたから」

「お姉ちゃん……」

「それに、私も今は吸血鬼なんだよ? 守られてばかりのか弱い人間じゃないからね!」

 と、拳を握って見せる。

「それは、そうなんだけどね……」