「私にも責任はあるわ。それに、デートと称して護衛の練習したときだって、あれは結局私達H生の自己満足と変わりないことだったし……」

 そう言って彼女は結局自分を責めた。


 何を言っても気にしてしまう弓月先輩に、もはや何も言えない。

 でもそうやって困る私に、弓月先輩はもう一度先程の質問をした。

「だから、聞きたいの。……聖良さんは、今幸せ? 好きな人と一緒にいることは出来るようになったけれど、吸血鬼になってしまって大変なことも多いでしょう?」

「まあ……」

 大変と言えば大変だよね、と思いながら頷く。

 特に始祖の力に関しては未知すぎて、どうしたって不安は出てくる。


 でも、そうだな……。


「幸せ、ですよ」

 吸血鬼になってしまったことにはどうしてかあまり抵抗はない。

 多分、嘉輪や他のV生の人達とも関わっていたからだと思う。

 血を飲んだり、身体能力が高かったりと人間と違うことはあるけれど、人そのものは何ら変わりない。

 みんな、年相応の私と同じ学生だった。


 それに、今の吸血鬼は純血種以外寿命が人間とあまり変わらないっていうのも大きいと思う。

 両親や愛良達、大切な人達の死を見送って尚長い時を生きなきゃならないなんてことはないだろうから。


 始祖の力が解放されたとき、寿命にも変化が出ないか。