「……気が強いお前がそうやって俺にだけ見せる顔、マジでそそられる。……なぁ、抱かれる気にならねぇか?」

「ならないよっ!……それは、ちゃんとベッドが、ぃぃ……」

 調子に乗った永人を叱りつつ、嫌だとは言わない……言えない。

「残念。まあいいさ、今は印つけるだけで。たっぷりつけて、ドロドロに溶かして……あのクソセンコーの存在をお前の中からすべて消してやる」

「永人……」

「聖良、お前がその目に映す男は俺だけでいい。その心を占めるのは俺だけでいい」

 いつになく真剣な目が見下ろしてくる。

 その独占欲や執着を嬉しいと感じる私はおかしいだろうか?


 でも、そんな永人を受け入れると彼は喜んでくれるから……だから、私はこれでいいんだって思う。



 ついさっき、田神先生の思いをちゃんと受け止めておきたいって思った。
 私のためにその恋心を終わらせてくれたから。

 なのに、もう気持ちは永人にしか向けられなくなってる。


 私、残酷だな……。


 そう思うけれど、もうどうしようもない。

 ただ一人を選んでしまったら、他の相手には残酷になってしまうもの……。

 それを私は知ってしまった。


 だから、あとは貫き通すだけ。

 私の“唯一”は永人。
 彼は私のもので、私は彼のもの。

 誰一人として、私達を引き離そうとするものは許さない。


 永人のキスで溶かされてなお、心に宿る一本の芯にその決意を誓った。