【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 さっきまでの硬い声とは違って普段のヘラヘラとした調子の答えに少し安堵する。


 でも取り敢えずって事は、明日も大丈夫って保証があるわけでもないって事だ。
 それに石井君なら大丈夫って言うけど、その自信の根拠を知らない私からすればやっぱり不安だった。


 無事に愛良に会えるまで安心は出来そうにない。

 私は今どこにいるかも分からない愛良の所へ駆けつけたい気持ちを抑えながら歩いた。



 ……取り敢えず、腰の俊君の腕は離してもらって。

***

 ソワソワキョロキョロと、私は落ち着きの無い様子を隠しもせず家の前で愛良達を待っていた。


 俊君には「暑いんだし中で待ってたら?」と言われたけれど、少しでも早く愛良の無事な姿を見たくて外に出たままだ。

 そんな私に付き合って外にいる俊君には悪いと思うけれど、きっと中で待っていても落ち着かなくて外に出て来てしまうと思う。



 撒く為に回り道をすると言っていたから遅くなるのは当然だろうけれど、待っている方としてはその時間がもどかしい。

 スマホで時間を確認する度に電話をしようかと迷ってしまう。
 でも逃げてる最中なら邪魔になるかな? と考えてしまって結局電話は出来ないでいた。



 そんな風に待つ事二十分弱。

 いつもとは反対の道の向こうから愛良達の姿が見えて来た。