「純粋に聖良が好きだという思い。それが、“花嫁”だから……特別な存在だから欲しいと思う欲求といつの間にか入れ変わっていた……。君を好きだと……愛しく思う気持ちも、忘れかけていたのかも知れない」
そうして田神先生は寂しそうな目で私を見つめる。
「それを自覚して、俺は……」
辛そうに眉を寄せ、ゆっくり近付いて来る田神先生。
私はそれを動かずに待っていた。
「俺は、ちゃんと純粋に聖良を好きな男でありたいと思った……」
その目に、慈しむような優しさが宿る。
初めて私を好きだと言ってくれたときのような優しさに、胸が詰まった。
「田神、先生……」
「正直、今でも認めたくない気持ちはある。だが、どんなに認めたくなくても“唯一”同士となった君達を引き離すことはもう出来ない。それが、俺が見つけた落としどころだ」
諦めに似た微笑みを浮かべ、彼の手が伸びてくる。
それが私の肩に触れる直前で止まった。
「……最後に、抱き締めてもいいか?」
「え?」
「ちゃんと君を好きだった男として、終わりたい」
「そ、れは……」
いまだに認めたくはなくても、諦め、終わらせたいと言ってくれた田神先生。
自分でちゃんと決着をつけてくれた先生に、応えたいとは思う。
でも、永人に悪い気がして「はい」とは言えなかった。
そうして田神先生は寂しそうな目で私を見つめる。
「それを自覚して、俺は……」
辛そうに眉を寄せ、ゆっくり近付いて来る田神先生。
私はそれを動かずに待っていた。
「俺は、ちゃんと純粋に聖良を好きな男でありたいと思った……」
その目に、慈しむような優しさが宿る。
初めて私を好きだと言ってくれたときのような優しさに、胸が詰まった。
「田神、先生……」
「正直、今でも認めたくない気持ちはある。だが、どんなに認めたくなくても“唯一”同士となった君達を引き離すことはもう出来ない。それが、俺が見つけた落としどころだ」
諦めに似た微笑みを浮かべ、彼の手が伸びてくる。
それが私の肩に触れる直前で止まった。
「……最後に、抱き締めてもいいか?」
「え?」
「ちゃんと君を好きだった男として、終わりたい」
「そ、れは……」
いまだに認めたくはなくても、諦め、終わらせたいと言ってくれた田神先生。
自分でちゃんと決着をつけてくれた先生に、応えたいとは思う。
でも、永人に悪い気がして「はい」とは言えなかった。



