「思えば、初めがダメだったんだ。純粋に好きだからではなく、“花嫁”が欲しいという汚い大人の思惑から聖良を気にしていた」
そういえば、初めて告白じみたことを言われたときにそんなことを言っていたっけ。
確か、『はじめは好意とかは無くて、ただ“花嫁”を自分の手に出来るかもしれないという打算だった』とか言っていたような……。
でも、いつの間にか本気で好きになっていたと言ってくれた。
少なくともあれは嘘じゃないと思う。
「もちろん、途中から本気で好きになっていたのも本当だ。君を愛しいと思い、温かい気持ちになった。それに、聖良が初めて吸血されたときの岸に対する嫉妬や怒りの感情も……」
その時のことを思い出したのか、田神先生の目に力強い怒りが宿る。
「だが、君は俺ではなくその岸を選んだ……。岸に対して感じていた嫉妬や怒りが渦巻いて……聖良が岸の“唯一”だと知っても、受け入れられないどころかそれがどうした、という気分だった」
吐き捨てるようにそう口にした後、田神先生の目に宿った怒りの炎は消失していく。
「きっと、その頃から俺は好意と薄汚い思惑を混同し始めていたんだ」
「先生……」
そういえば、初めて告白じみたことを言われたときにそんなことを言っていたっけ。
確か、『はじめは好意とかは無くて、ただ“花嫁”を自分の手に出来るかもしれないという打算だった』とか言っていたような……。
でも、いつの間にか本気で好きになっていたと言ってくれた。
少なくともあれは嘘じゃないと思う。
「もちろん、途中から本気で好きになっていたのも本当だ。君を愛しいと思い、温かい気持ちになった。それに、聖良が初めて吸血されたときの岸に対する嫉妬や怒りの感情も……」
その時のことを思い出したのか、田神先生の目に力強い怒りが宿る。
「だが、君は俺ではなくその岸を選んだ……。岸に対して感じていた嫉妬や怒りが渦巻いて……聖良が岸の“唯一”だと知っても、受け入れられないどころかそれがどうした、という気分だった」
吐き捨てるようにそう口にした後、田神先生の目に宿った怒りの炎は消失していく。
「きっと、その頃から俺は好意と薄汚い思惑を混同し始めていたんだ」
「先生……」



