【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

「ああ、何もしないと誓う。けじめをつけるためにもちゃんと話がしたいだけだ」

 そうして二人は数秒無言で真剣な目を交わし合う。

 探り合っている様にも見えるそれは愛良のため息で終わった。


「分かりました。何もしないって言うなら、私も零士先輩の言葉を信じます」

 あくまでも信じるのは零士の言葉っていうのが何て言うか……イラッとするけど。

 でも愛良も私と田神先生が話をすることを認めた形になる。


 愛良も特には反対しないとなって、私は話だけならしてもいいかなと思った。

 万が一変なことされそうになっても、今の私なら多分勝てるだろうし。

 でも……。


「うーん……永人?」

「嫌だ。ダメに決まってるだろ」

 頑なに拒否する永人には正直嬉しいと思うんだけれど……。


 でも、田神先生のことをハッキリさせてちゃんと終わらせたいのは私も同じだ。

 だから。

「……永人、ごめんね?」

「え? おい、聖良⁉」

「永人、部屋の外で待ってて。私が良いと言うまで部屋には入らないで」

 主として、“命令”をする。


「なっ⁉ この、聖良ぁ⁉」

 悔し気に声を上げながら、抵抗しようとしつつも体は命令に従い部屋を出ようとしている。

「ごめん、文句は後で聞くから」