当人同士はちゃんと好き合って血婚の儀式をしたのに、何だか大人の思惑に乗ったみたいに見られてしまいそうで……。


「だとしても本命は聖良さんということになるだろう。本来ならありえない始祖の力を使えるようになるかもしれない吸血鬼だ。各家の当主達は君とつながりを持ちたいと考えているだろうな」

「それは……」

 そっか、そういう思惑とかにも巻き込まれることになるんだ……。


 前例がないとか始祖の力だとか、色々言われているけれど私自身は吸血鬼になったこと以外は変わりない。

 でも、そう思っているのは私だけってことなのかな……?


 私が自分の変化を受け入れて慣れて行こうとしている間にも、周囲はそれ以上に変化しているような気分。

 気持ちが追いつかないよ。


 そんな弱気を感じ取ったのか、永人が私の頭にポン、と手をのせる。

 そのまま胸に抱き込むように引き寄せられた。


「永人?」

「抱えきれないときは寄りかかれよ。俺より強くなって守りすら必要なのかって感じなんだ……それくらいさせろ」

「……うん」

 強くなったって言っても力だけだし、こうやって支えになってくれる方がずっと嬉しい。

 胸がキュウッと温かくなるのを感じて、私は不安を溶かしていく。


「……お姉ちゃんは、大丈夫なんですか?」