【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 “俺も”って事は私がトイレ行く振りして俊君から離れた事バレてる⁉


 少し焦ったけれど、俊君はそれについて追求してくる様子はない。
 それならこのまま誤魔化しても良いよね!


 内心アタフタしつつ、私の嘘がバレてる事は外野にポーンと投げ捨てた。

 そしてもう一つ、聞き捨てならない言葉の方を追求する。


「……嘘じゃないってどういう事? 私俊君と付き合った覚えもないし、誰か他に彼氏がいるわけでもないよ?」

 嘘や誤魔化しは許さない! という気分で私は俊君を軽く睨んだ。

「そんな風に睨まないで下さいよ、怖いなぁ〜。あとそれについてはまだ詳しい事は言えないんですよ。引っ越しが終わったら、田神先生から話があるはずなんで」

 だから今は追求するなと暗に言った俊君に、私は憮然とした面持ちでため息を吐いた。

 この様子じゃあこれ以上話してはくれなさそうだ。

 納得はいかないけれど、明後日には分かるって言ってるんだし、そのときにちゃんと聞くしかないみたい。


 何よりもう昼休みが終わる頃だ。
 そろそろ予鈴がなってしまう。

 取り敢えずは私の嘘が誤魔化せた事を良しとするだけで満足するしかないか。

 そう判断した私は、力無く「教室戻ろうか……」と口にした。



 その後は特に何事もなく授業を受けて過ごした。