【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 応接室には愛良と零士が先に行って待機している。

 朔夜さんの指示で、愛良もいると話が進めやすいのだとか。


 私の今の状態を心配した元婚約者候補の人達も居合わせたかったらしいけれど、あまり人数が多くなると失礼になると言って田神先生が却下したらしい。

 応接室の上等な椅子に望さんを座らせた朔夜さんは、「さて」と呟いて私に視線を向けた。

「とにかくまずは彼女の血が今どういう状態なのか調べてみるか」

 そうして近づいてくる朔夜さんに永人が少し前に出て質問を投げかけた。

「……何をするんですか?」

 珍しい永人の敬語に驚いてポカンとしてしまう。


「少し血を舐めてみるだけだ。……まあ、“唯一”なら気分のいいものじゃないだろうが。調べるためだ、我慢しろ」

 朔夜さんの言葉に永人は少し悔し気な表情をしつつ、場を譲るように私の隣に戻った。


「さて、まあ少量でいいだろう。手を出せ」

「は、はい」

 逆らう気になんて全く思えない命令に素直に従う。

 手を出すと、完璧なまでに美しい男の手が私の手に触れる。


「っ!」

 それだけでも緊張するのに、朔夜さんはためらいもなく私の人差し指に牙を立て、ぷくりと出てきた赤い血を舐めとった。

 何とも言えない恥ずかしさに息を止めてしまう。


 この人は嘉輪のお父さん、嘉輪のお父さん!