【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

「で、その子が嘉輪が血を入れた子?」
 と、嘉輪のお母さんはそう言って私を見た。

「っ、あ、はい」
 綺麗な人にやさしく微笑まれてドキリとした。

 お母さんの方も威厳みたいなのはあるけれど、気おされるほどではない。

 でも、緊張はしてしまう。

「紹介するわ。聖良、この二人が私の両親よ」

「父の朔夜(さくや)だ」
「母の(のぞみ)よ。今日はよろしくね」

「よ、よろしくお願いします!」

 二人が並ぶと美男美女で見ているだけで目の保養になりそうだ。

 そんな二人に声をかけられただけでドキドキしてしまう。


「で、こちらが香月聖良よ。隣に引っ付いてるのが彼女の“唯一”であり“従者”の岸永人」

「……ども」

 続いた嘉輪の紹介に、永人は短く返す。

 いくら何でも失礼なんじゃ、と思って見上げた顔は強張っていた。

 どうやら永人も緊張しているらしい。


「……失礼、紹介が終わったのなら応接室にご案内します。妊娠されているなら立ち話はお辛いでしょうし」

 頃合いを見計らっていたのか、田神先生が爽やかな笑顔を浮かべて促した。

「頼む」

 嘉輪のお父さんがそう答えて、みんなで田神先生について行く。


 いまだに緊張の面持ちでシン、としている生徒達の間を通りながら、一階の奥にあったらしい応接室へ向かった。

***