【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 高校生の娘がいるとは思えないほど若くてカッコイイ。


 どことなく嘉輪に似ているな、と思っていると彼がこちらを向く。


「っ⁉」

 そのとたん、何とも言えない威圧のようなものを感じた。

 それは私だけでは無い様で、永人や少し離れてついて来た田神先生。
 そして野次馬で集まっている生徒達も全員が息を呑みシン、と黙り込んだ。

 威圧――ううん、これは威厳って言うのかもしれない。

 本人は何もしていないけれど、私たちが勝手に彼の威厳に()おされているんだ。


 そうならないのは、嘉輪だけ。


「お父さん、わざわざ来てくれてありがとう」

「ああ……。俺も状況を把握しておきたかったからな」

 そんな父娘の会話にもう一人の声が入る。


「あと、あなたの様子も見ておきたかったからね」

 そう言って助手席から降りて来たのは、茶色の髪と目をした美女だった。

「お母さん⁉ 来て大丈夫なの?」

「ええ、もう安定期に入ったしね」

 そう語る嘉輪のお母さんのお腹は言われてみると確かに少し膨らんでいた。


 嘉輪、お姉ちゃんになるんだ……。

 はじめて知ったけれど、そういえばちょくちょく用事があるとか言って家に帰っていた時期があったっけ。

 あの頃に妊娠が分かったのかな?

 なんて予測を立ててみる。