【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 結果として黙っていると、鈴木君と俊君の会話がおかしな方へ向かっていく。


「……決まった人? 君の事だとでも?」

「そこはご想像にお任せしますよ?」

 と言いながら私の腰を抱く手に力が入る。

 ちょっと待てぇーーーい!

 これじゃあ私の恋人は俊君だって言ってる様なものじゃない。

 違うでしょ⁉
 ただの護衛でしょ⁉

 何をトチ狂ってるのよ俊君ー⁉


「なっ⁉ ちがっ!」

 何とか声は出たけれど、言いたい事が多すぎてちゃんとした言葉にならない。

 そうしているうちに男子二人はどんどん話しを進めていく。


「嘘だ……」

「いいや、本当の事ですよ?」


 絞り出したような鈴木君の言葉に、余裕の笑顔で答える俊君。

 その後鈴木君はうつむきしばらく黙っていると思ったら、突然体育館のドアを開けて走り去って行った。


 呆然と鈴木君を見送った私は、ハッとして俊君から離れた。


「何であんな嘘ついたの⁉ 第一、どうしてここにいるの?」

 言いたい事は多々あるけれど、取り敢えず特に気になる事を叫ぶ様に聞いた。

「嘘じゃないですよ? それとここには、俺もトイレ行く振りして追ってきました」

 悪びれもなくニッコリと言う俊君に私は開いた口が塞がらない。


 でも待って。
 俺もトイレ行く振りしてって言った?