【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 私は特に信じる方ではなかったけれど、そういうことなら実際に起きてほしいとも思う。

 まあ、生まれ変わった方は記憶ないんだろうけれど。


 そうして少し(なご)やかになった空気の中で、嘉輪は「それにね」と楽しそうに告げる。

「純血種は寿命が長いおかげか、“唯一”に出会える確率がかなり高いの。その人が吸血鬼になる事を了承してくれれば、長い生をずっと寄り添ってくれる相手になってくれる。そんな相手に出会えるのを私楽しみにしてるのよ?」

 “唯一”。

 ずっと寄り添ってくれる相手。

 その存在がどれだけ自分を満たしてくれるのかを私は知っている。

 だから、嘉輪にもそんな相手が見つかるというならとても嬉しい。


「……嘉輪の“唯一”がどんな人か私も会ってみたいな……。ぜひとも私が生きているうちに見つけてね」

「えー? それはちょっとプレッシャーかけすぎじゃない?」

 なんて笑いあっていると、丁度車が寮の敷地内に入ってくるのが見えた。


 真っ赤な、明らかに高級車と分かるような車。

「あ、お父さんだわ」

 そう言って停まった車に近づく嘉輪に私もついて行く。


 運転席から男の人が降りてきて、あの人が嘉輪のお父さんかな? と思う。

 黒髪でスラリとした体型の、二十代後半くらいにしか見えない男の人。