「あ、雪?」

 すっかり寒くなって冬の色も濃くなってきたある日。

 前の学校にいた頃はたまにしか見なかった雪も、山の上にあるこの城山学園ではよく見るものになっていた。


 この雪が降るのもすでに三回目。

 教室の窓から見える校庭にも白く積もってきていた。


「あ、本当だ。でもこの降り方ならあまり積もらないんじゃないかな?」

 私の呟きを聞いたクラスメイトが同じく窓の外を見ながらそう話しかけてくる。

 そういえばこのV生の子は出身が東北だって言ってたなぁ、なんて思い出しながらそのまま会話を続けた。



 学園での私の扱いもまた変わっている。

 まず今まで何もつけていなかったけれど、吸血鬼になってしまったからV生の(あかし)であるピンをつけるようになった。

 それと、居心地の悪かった学園生活もガラリと変わる。


 裏切り者のように扱われていた私だったけれど、吸血鬼になってしまった上に問題の永人と主従の契約をしたことで、主にV生からの見方が変わった。

 元々V生は“唯一”なら引き離さない方がいいんじゃない?っていう擁護派と。
 違反行為をして学園やハンター協会からも追われているような永人を選ぶなんて認めたくないっていう否定派があった。