【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 同じことを思ったらしい田神先生が問い詰めると、永人は何でもないことのようにしれっと答えた。


「そりゃあひと月ほど前から? 月原家で儀式のことを聞いてから、あればいざというとき使えそうだと思ってよぉ」

 出来たのは昨日だからちょっとギリギリだったけどな。とも付け加えていた。


 ってことは本当に血の結晶を飲まされたの?

 血の結晶ってことは血婚の儀式?

 ……いや、違うか。



 血婚の儀式は相手、つまり私の血を混ぜなきゃならない。

 ということはもっと前、大元になったっていう……。


「主従の儀式か……」

 田神先生が悔し気に呟く。

 そうだ。

 ハンターが無理矢理奪って飲み込んだという隷属の儀式とは違うから、主従の儀式ってことになる。

 私が主で、永人が従う側。


「でも、何でそんなこと……」

 やっと息も整って来て疑問を口にする。

 今それをする意味があるんだろうか?


 私の疑問に永人は腹が立つほど得意げな顔で答えた。

「血の結晶にまつわる儀式は吸血鬼にとって本当に特別なんだよ。血の結晶は作り出した吸血鬼、本人そのものと言って良い。それが主の体の中にある。つまりは、引き離すことは絶対に出来ねぇ」

 吸血鬼にとって血は特別な意味を持つ。

 今のお前なら分かるだろう? とニヤついた顔で言われた。