【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 永人はそれを喉の奥へと押しやってくる。


 飲み込め。

 そう言われているんだと判断した私は、息苦しさもあって自分から喉の奥へとそれを移動させた。


「……おい、何をしてるんだ⁉」

 そんな田神先生の声が聞こえたと同時に、私はそれをゴクリと飲み込む。


「っぷはっ!」

「よし、飲んだな」

 やっと鼻から手を離し唇も離した永人は、いつもの意地の悪そうな笑みを浮かべて満足そうに言った。


 何? 何だったの?


 先ほど飲まされたものが、私の中で温かく溶けていくような感じがする。

 これ、何だったの?


 永人の腕に抱かれたまま息を整えている私は、ただ疑問を募らせた。

 その間に周囲が色めき立ちながら話し始める。

「おい岸! お前今なにをした⁉」

 田神先生が近づいて来て永人の肩を掴む。

 そんな田神先生を小ばかにしたように、ニヤリと笑う永人はとんでもないことを口にした。


「何って……聖良に俺の血の結晶を飲ませたんだよ」

「なっ⁉」

 永人の言葉に、田神先生だけじゃなくこの部屋にいるすべての人が騒めく。


 血の結晶を……飲ませた?


 血の結晶って、確か吸血鬼本人と言われるもの。

 作り出すのに一か月はかかるって聞いたけど……。


「そんなものをいつの間に⁉」