【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 少なくとも、一度は会える?

 だったら……。


「今すぐ、会いたいよぉ……」

 焦がれ、求めるままに言葉を口にした。

 でも嘉輪は厳しくも真剣な眼差しでそれを止める。


「聖良、冷静になって」

 そう言う彼女は声をひそめて続ける。


「彼と会うとき。逃げるならそのときを狙うしかないわ」

「っ!」

 嘉輪は諦めていない。
 私のために考えていてくれたんだ。


 その真っ直ぐな眼差しから、力を分けてもらったような気分になる。

 ピタリと涙を止めてその真剣な目を見返した。


「だから今は動けるようになるまで待って。あなたが動けなければ、逃げることすら出来ないんだから」

「……うん。……分かった」

 そう返事をして落ち着いた私の涙の跡を愛良がハンカチでぬぐってくれる。

 それに「ありがとう」とお礼を言いながら私は(はや)る気持ちを落ち着かせた。

***

 人間が吸血鬼になったとき、動けるようになるまでは基本的に丸一日かかるらしい。

 ということで、私が岸と会わせてもらえることになったのは翌日の夕方だった。


 私は何とか支えがあれば動けるといった状況。

 上層部も私達と同じことを考えているのかもしれないと嘉輪は言った。