【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 もう悲しそうな、諦めの表情なんかさせたく無いと思った人。


 その人と、離される。

 多分、二度と会えない。


「ぃや……そんなの、絶対に嫌!」

 暴れ出したい衝動に駆られる。
 でも、体は動かなくて……。

 すぐにでも会いに行きたいのに、行けなくて。

 悔しくて、涙が溢れた。
 

「ごめんなさい。いくら純血種と言っても、学生の私じゃあ上層部全てを止めるだけの権限はなくて……」

 申し訳なさそうに言う嘉輪。

 嘉輪のせいなんかじゃない。
 そう言ってあげたいけど、言葉には出来なかった。


「嫌だ、嫌だよぉ……」

 ただひたすら、小さな子供のわがままの様に嫌だと繰り返す事しか出来ない。


「お姉ちゃん……っ」

 愛良も悲痛そうな表情をするけれど、今の私は大丈夫だと笑う事なんて出来ない。


「嫌だ。会いたい……岸に、会わせてぇっ!」

 心の底から。
 魂の中心から叫ぶ様に求めた。

「うっうぅ……」

 あとはひたすら泣き続ける私に、嘉輪がポツリとこぼす。


「会うには、会えるわ」

「え?」

「岸の願いも、せめてもう一度会わせてくれってものだったし。上層部もこのまま一度も会わせずに離すほど鬼じゃないとか言っていたから」

 “唯一”同士を引き離そうとする時点で鬼だと思うけれどね、と付け加える嘉輪を見る。