その目が一瞬迷いを見せ、直後決意を固めたようにしっかり私を見た。


「聖良、どんなことになっても生きたい?」

 その問いに、私はためらわずに頷く。


 言葉の意味を考えることもなく、生きたいと思ったから。


 岸の、こんな表情……これ以上見ていたくなかったから。



 だから、岸がまた私を見て優しく笑ってくれるなら、どんなことになったってかまわないと思った。


「分かったわ」

 嘉輪の決意を込めた声を最後に、私の意識はハッキリしなくなる。


 岸と嘉輪が少し言い争いをして、首筋に誰かが触れたと感じたのを最後に、私は本当に意識を失った……。