【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 そして授業の合間のたびにまた取り囲まれ、有香と中々話が出来ないまま昼休みになった。

「有香! ポーッとしてどうしちゃったの?」

 お弁当を広げる前に、私は真っ先にそう言った。

 ずっと俊君の事を見ていた有香は、ハッとなって私に視線を向ける。


「あ、ごめん。なんて言った?」

「……」

 聞こえてなかったんかい!


 仕方なく私はため息をついて仕切り直した。

「有香、俊君がそんなに気になる?」

「ちょっ! 赤井君すぐ隣にいるのにそんな事!」


 赤くなって慌てる有香にまたため息が出る。

 俊君は昨日の浪岡君と同じ様に沢山の人から質問攻めだ。
 浪岡君くらい地獄耳でもなければ聞かれる心配は無さそうなのに。


「有香、チャラい男子ってそんな好きじゃなかったよね?」

 なのにどうして? という言葉を含ませて聞く。
 でもその答えは至ってシンプルだった。

「ああ、うん。確かに好きか嫌いかで言うと嫌いな部類かな。でも赤井君は……その……顔が超好みなのー」

 きゃー、言っちゃったー! と何やらはしゃぎ出す始末。


 なんかもう目も当てられなくて他二人の友達に視線を移すと、丁度彼女達は俊君に質問しているところだった。

「昨日が浪岡君で、今日が赤井君って事は、明日は誰が来るの?」
「交互って事で浪岡君なの?」