【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。


「聖良!」

 いつぞやのように、真っ先に来てくれたのは嘉輪だった。


 嬉しいし、何よりも安堵する。

 ホッと肩の力を抜いて……でも脳裏を過ぎるのは他の人の顔。

 今、本当に来て欲しかったのは……。


「お前ら、ちゃんと話を聞かせてもらうからな?」

 嘉輪の次に現れたのは田神先生だ。

 明らかに怒りが込められた目でH生達を睨む。

 そして他の婚約者候補の面々やV生らしき生徒が何人か入って来る。

 中には石井君もいたから、意識を取り戻したみたいで良かったと思った。


「聖良……大丈夫だったの? 怖い思いしてない?」

 V生に取り押さえられるH生達の間をすり抜けて嘉輪が近くに来てくれる。


「嘉輪……大、丈夫……だけどっうっ」

 男の硬い手じゃない。

 女らしい柔らかい手で背中を撫でられ、私はやっと本当の意味で安心出来た。

 涙が零れて、嘉輪に思わずしがみつく。

「聖良……っ」

 辛そうな声で名前を呼んで、嘉輪は私を抱き返してくれた。


 そんな中、H生の彼が悔し気な声を上げる。

「くっ! この! 鬼塚、お前か⁉」

 V生に押さえつけられながら彼らは鬼塚先輩を睨んだ。

「当たり前だろ? お前ら、自分が何しようとしてたのか本当に分かってんのか?」