【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 話の通じない相手に説教するのは疲れる、と疲労のため息を吐きながら鬼塚先輩は私を見た。


「悪かったな、聖良。こうしないとこいつらだけで実行して本当に乱暴されかねなかったから……」

 だから、仲間のフリをして途中までそれっぽく動いてたってことか。

 ……でも。


「じゃあ『好きだ』とかって言葉は何だったんですか?」

 あれは本当に意味が分からなかった。

 あんなことわざわざ言う必要ある?


「あれはまあ、時間稼ぎってのもあるけど……半分は本気だったからな」

「え?」

 最後の方は声が小さかったけれど、聞こえないほどじゃない。

 だからちゃんと耳には届いたんだけれど……。


「え? 本気って、好きってことがですか? え? 本当に?」

 そんなそぶりを見せたこともないのに何を言っているんだろう?

 デートの時だって一応お昼は奢ってくれたけれど、他は完全に友達や後輩といった対応だったのに。


「まあ、そういう関係になっても良いかなーと思う程度には? 嫌だって言われるのは分かってたから、変に気にするなよ?」

 あくまで信じきれない私に合わせたのか、軽い調子で話す鬼塚先輩。

 そんな感じだから、私も本気にしていいのか悪いのか分からない。


 戸惑うし困るけれど、今はそれを追求している場合じゃなかった。