翌日。

 すぐにでも血婚の儀式についてちゃんと聞こうと思っていた私達。

 でもそう簡単にはいかなかった。


 岸達が学園の敷地内に侵入したことでH生の中に操られている人がいると分かったから。


 そのためH生はみんな調べられることになり、調べる側として田神先生も忙しくしていた。

 やっと話が出来るとなったころには、儀式まであと二週間ほどになっていたんだ。



「すまないな、話したいことがあると聞いてからこんなに間が開いてしまって」

 いつもの会議室でそう言った田神先生はかなり疲れている様に見えた。


 まあ、それもそうだよね。

 つい最近まで昼は普通に学園の先生として授業を行い、放課後は“花嫁”の護衛を取りまとめる立場の者としてH生を調べていたんだ。

 疲れないという方がおかしい。


 それがやっとひと段落ついたところ。

 少しは休みたいだろうに、こうして時間を作ってくれたことが申し訳なかった。


 でも、血婚の儀式についての疑問だ。
 儀式が終わってからじゃあ意味がない。

 だから申し訳ないし、私個人としては気まずい気持ちもあるけれど悠長なことは言っていられない。

「それで? 血婚の儀式について質問があるんだったかな?」

 椅子に座った田神先生はさっそく本題に入った。

 それに答えたのは嘉輪だ。