とりあえず、愛良の無事を確認しなきゃ。

 八階まで上るエレベーターの中で思った。

 自分のことを考えたところで今はまだ気持ちの整理が出来ないし、愛良のことも心配だったから。


 自分の部屋に一度荷物を置いてから、私は愛良の部屋のドアをノックした。

 コンコン

「はーい」

 すぐにドアを開けた愛良は、私の顔を見てギョッとする。


 一応顔は洗って来たけれど、赤くなった目元は簡単には戻らない。

 でも戻るまで待ってるわけにもいかなくて、来てしまった。

「愛良、襲われたって聞いたけど大丈夫? ケガとかしてない?」

 そう聞いた私に、愛良の方が泣きそうな顔になった。


「あたしは大丈夫だよ。お姉ちゃんの方こそ大丈夫なの? あの岸って人がそっちに行ったんでしょ? そんな顔して、何があったの?」

 部屋に入れてくれながら、心配そうに次々聞いてくる愛良。


「聖良先輩⁉ なんて顔してるんですか⁉」

 すると先客がいたようで、中から瑠希ちゃんが顔を出した。


「あ、瑠希ちゃん……。愛良に付いててくれたの? ありがとう」

 田神先生の話では学園について行ったのは零士だけだったみたいだから、多分後から話を聞いて様子を見にきてくれたんだろう。

 お礼を言うと瑠希ちゃんは「友達ですから」と返してすぐにスマホを取り出した。