【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 思い出すのはつい先ほどの岸の電話。

『学園の方は終わったのかぁ?』

 あのとき、あたしは愛良の方にもシェリーの仲間が行って何かしたのかも知れないと思ったんだ。


「まさか愛良に何かあったんですか⁉」

 掴みかかる勢いで問い質すと、「大丈夫だ」となだめられた。


「愛良さんが何か忘れ物をしたとかで、学園校舎内に行くと怪しい人物と会ったらしい。だが一緒にいた零士が撃退したというから、問題はないだろう」

 ひとまず大事にはなっていない様で安心する。
 でも、ケガはしていないのかとかまだまだ気になる事は多い。

 愛良の無事を確認するまでは安心できなかった。


「とにかく今日は解散だ。聖良さんは私が送っていくから、君たちも後始末をして帰るんだ」

 そう指示した田神先生の言葉に、H生達は安堵の息を吐いてあたし達から離れていった。


 何人かは悔しそうな顔をしていたけれど。


 田神先生についてきた他の護衛らしき人達もH生に話を聞くためか離れていき、本当にあたしと田神先生の二人きりになる。

 今は田神先生と二人きりは気まずいので困った。

「……えっと、じゃあ帰りましょうか? 愛良のことも心配だし」

 詳しい話をしたくなくて誤魔化すような笑顔でそう言ってみる。