【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 睨みつけて言うと、「あーあ」と見慣れたにやけ顔になる岸。

「元気になっちまったか。可愛かったのになぁ?」

 その顔はずっと殴りたいと思っていた表情で。
 でも今の体勢だと力を込められない。


 ホンット腹が立つ!


 私の血を飲んで力も取り戻したのか、腰に回されている腕はビクともしない。

 元気になって安心する反面、元気な岸はやっぱりムカつく奴だった。

 スマホをポケットにしまった手が、私の頬を包む。

 その指先が、耳のふちをなぞった。

「ちょっ! やぁっんっ」

「でも気が強いお前も気に入ってるし……。そのギャップもたまんねぇよなぁ?」


 っこの!
 ホント殴ってやりたい!


 でも今は殴れるような体勢じゃないから、代わりに言葉で抵抗する。

「う、るさいっ。元気になったんでしょう⁉ もう触らないでよ!」

「やーだね」


 っく! このぉ!


「さっきの電話は何なの? 学園って、愛良に何かしたんじゃないでしょうね⁉」

 離せと言っても離さないので、仕方なく話を先に戻す。

 愛良は零士を選んだんだ。
 あの二人を引き裂くようなマネをするなら許さない。


「ったく……愛良愛良って、また妹かよ」

 呆れとため息。
 次いで、耳を包むように優しく撫でられる。

「んぅっ!」