【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 何でこんなキスをするのか。


 いつものような翻弄するキスじゃなくて、嫌だと突き放せない。

 むしろ……。


「っはぁ……悪ぃな、一応約束したってのに。でもこのままだとお前熱を逃がすことも出来ねぇだろ?」

「んっ……ね、つ?」

「ああ、吸血行為によって与えられた性的快感の熱だよ。相手のこと嫌ってると前回のお前みてぇに熱は感じても快感と言えるほどにはならねぇみてぇだけどな」

 一通り説明を終えると、チュッとまた軽く唇が触れ、岸の片方の手が私の腰に回される。

 引き寄せられ、もっと体が密着した。


 喜びと欲望に満ちた瞳が、すぐ近くで私を見つめる。

 その目がまた嬉しそうに細められた。

「で、こんな風に感じてくれてる今の聖良は……俺のことどう思ってくれてんのかねぇ?」

 ニヤニヤと腹の立つ笑みを浮かべる岸に少しムッとする。

 でも、その目だけは本当に純粋に嬉しそうで……少なくとも、殴りたいとは思わなかった。


「ま、そういうわけだから……」

 また、顔が近づく。

「キス以上はしねぇから、お前は大人しく熱を逃がすことだけ考えてろよ」

「ぁんっ」


 私の返答なんて聞きもせずに、また塞がれる。

 今度は初めから深く。
 でも、やっぱり奪うような強引さはなく甘さすら感じた。


 本当に困る。