【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 良く分からない、という顔をしつつ私に手を伸ばし引き寄せる岸。

 その腕の力が前より弱々しく感じて、なぜだか悲しくなった。


 岸の手が、私の肌に直接触れる。
 視線が絡むと、細められた目の中に欲情が見て取れた。

 ゾクリと、わずかに体が震える。


「ったく、こっちが我慢してやってるってのに……。もう止まんねぇからな?」

 確認というよりは、宣言のようにそう口にされた。
 そして、私が何か返事をする前にさらにグッと引き寄せ抱き締められる。

「っ!」

 怖い、んだろうか?

 確かに血を吸われるのは普通に怖い。
 でも、今感じている怖さはそれとは種類が違っていたような気がする。

 怖さの中に、嬉しいという気持ちが垣間見えたような……。


 そんなおかしな感情に戸惑っていると、首筋に温かい息がかかる。

「っはぁ……聖良……」

 求めていたものを手に入れることが出来たような、喜びの声音。
 その声だけでも何故かゾクゾクするのに、そのまま首筋を舐められた。

「ぅあっ!」

 次の瞬間、牙が深く入り込んで激痛が走る。

 でもすぐに痛みは熱に変わる。
 以前咬まれたときよりも熱に変わるのが早い気がした。

「んっ……はぁっ」
 変わるのが早かった熱は、巡るのも早いらしい。