【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

「……本当にいいのか? 俺の力が戻ったらお前には都合が悪ぃんじゃねぇの?」

 何考えてるんだ? とでも言うように疑わしそうな岸。

 そんな彼にちょっと驚いた。
 じゃあ有難く、とか言ってすぐに咬みついて来ると思ったのに。


「……そうだね。約束なんて破って襲ってくるかもしれないって思ってるよ」
「分かってんじゃん。じゃあ――」
「でもね、あんたをこのままにしておけないのよ」

 じゃあやめとけ、とでも言いそうだった岸の言葉を遮る。

「だってあんた、このままだと死んじゃうんじゃないの? 私は別に、あんたに死んで欲しいとまでは思ってない」
「聖良?」

「理由は分からないけど、私の血を飲めば大丈夫なんでしょう? だったら今飲ませるしかないじゃない」
「それは、まあ……」

「それに、あんたがいつもみたいなにやけた顔をしていないと……殴りたくても殴れないのよっ」
「……」

 つらつらと言い訳を並べてみたけれど、本当のところは自分でもよく分からない。
 どれも本当に思ってることだけれど、一番決定打となったのは違うことの様な気がする。

 衝動的に動いたから、どうしてなのかが分からない。


 それでも、岸をこのまま放っては置けないという気持ちだけは確かだった。

「……じゃあ、そこまで言うなら有難く?」