【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

「責任感だけで言ってるわけじゃない。それだけは分かってくれよ?」

 幾分真剣な目で言われて、私はすぐには答えられない。

 忍野君の言葉を素直に受け止められればいいんだろうけれど、どうしても考えてしまう。


 責任を取ろうとしてるんじゃないか、って。

 好きだって言葉も嘘じゃないのは分かるんだけれど、その考えがどうしたって張り付いて来る。


 だから私は……。

「うん……努力します」

 としか答えられなかった。

「まあとりあえずはそれで良いよ。責任感じてるのも嘘じゃねーし」

 忍野君はため息をつきつつ苦笑いする。

「俺はさ、もちろんお前のこと好きだから選んで欲しいって思ってるけど……でもこれ以上俺のことで振り回したくないとも思ってる」

「忍野君……」

「だから、もし俺以外を選んだとしても気に病むなよ? 応援――は出来ないかもだけど、お前が選んだやつなら文句は言わねぇから」

「……うん、ありがとう」


 忍野君の優しさに、私は泣きそうになってうつ向いた。

 だって、そんなことを言うってことは、自分が選ばれるとは思ってないってことだ。


 そしてそれは間違っていない。


 忍野君が私のことを純粋に好きだってこと。
 それをちゃんと受け止められても、きっと私は忍野君を友達以上に見れない。