【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 カッコイイというわけでもなく、かといって不細工でもない平凡な顔をしていた忍野君。

 それが吸血鬼となってからは目鼻立ちがハッキリして、髪の艶も心なしか良くなったように見える。


 前までが正体を隠していた状態だったというから、本来の忍野君は今のこの美男子の方なんだろう。


 そんなイケメンになった忍野君の顔が近くにあると、流石に照れてしまう。


「なっ⁉ ち、近いよ?」

 慌てて抗議すれば。

「悪い、寝顔可愛かったからさ」

 なんて悪びれなく笑う。

「かっかわっ⁉ って、まさかずっと見てたなんてことは……」

「あ、大丈夫。俺もさっきまで寝てたから。見てたのはほんの数分くらいだよ」

「そ、そっか」


 と安堵しかけたけど、数分でも結構な間見られてたってことなんじゃ……?


 そう考えたけれど、あえてそこは言わない。
 普通に恥ずかしい。


「うう……すぐに起こしてくれれば良かったじゃない」

「だからごめんって」

 謝りながら立ち上がった忍野君は私に手を差し出す。

 あまりにも自然な動作だったから、私はついその手を取って立ち上がった。


「でもずっと見ていたいって思うくらい本当に可愛かったんだ」

「っ! っだから……そういうことサラッと言わないで……恥ずかしいから」


「本当のことだし?」