のぼせたんじゃない? と心配する嘉輪に、そうかもしれないと返してあたしは先に温泉から上がった。

 脱衣所に戻って服を着て、扇風機に当たりながら熱を冷やす。


 痕が消えてこのまま忘れられると思ったのに、少し話題を出されただけで思い出しちゃうなんて……。

 やっぱりあのにやけた顔をぶん殴りでもしない限りこの熱は収まらないんじゃないだろうか?


 ……そうだよ。

 きっと、色んなことされて怒ってるんだ。

 その怒りから来る熱なんだよ。


 そうしてまた怒りに気持ちをシフトする。



 このときのあたしはまだ、熱の正体を突き止めたくなくてそう考えていた……。