「え?……あ、そうだね……」

 こっちの話しを聞かれていた事に驚いたけれど、今の浪岡君の言葉は暗に出掛けるなら付いて行きますよ、って意味だった。


 うーん、やっぱり浪岡君の目をかいくぐるのは無理かぁ……。


 さっきの耳ざとさを見る限り、どう逃げようとも見つけられてしまいそうだ。


「でもそうなると、ショッピングは却下だね」
「え⁉」

 有香がうーん、と唸って発した言葉に私はそんな! と声を上げる。

「何で? 別に浪岡君がいても買い物くらい出来るでしょ? 却下なんて納得いかない!」

 ショッピング希望の私は食らいつく様に言った。
 でも、有香はそんな私をジトリとした目で見る。

「……あたし達の買い物って、どんな店行くと思ってるの?」

「どんな店って……」


 私の一番の目的は、引越しに伴う必要な物を買う事で……。
 と言っても大してお金がある訳じゃ無いから、細々とした物を数個買うくらい。私の買い物はそんなに時間はかからない。

 後の残りの時間は……そうだなぁ、いつもみたいに雑貨屋とか行くんじゃ……。

「……あ」

 そこまで考えてやっと気付いた。

「分かった? 浪岡君連れてなんかいけないでしょう?」

「……うん……」


 私達の行く様な店って、ハッキリ言って女の子しか行かない様な可愛らしい雑貨のお店だった。