「聖良先輩、デートしましょう」

「は?」

 夕食時、いまだに他の生徒と一緒は心配だからということで会議室で食事をしていると、浪岡君が唐突に言い出した。


「正直言って、聖良先輩は僕のこと男として見ていないでしょう?」

 すわった目で真っ直ぐ見られて、私はそろそろと視線をそらす。

「そ、んなことは……ない、と思う……けど」

 一応否定はしてみるけれど、言葉もしりすぼみになってしまったしどう思ってるかなんてバレバレだった。


 浪岡君はどちらかと言うと可愛い系の顔立ちだし、弟とか守ってあげたいタイプと言うか……。

 そういう子が好きな女の子もいるだろうけれど、私は少なくとも異性とは見れなかった。


 ……申し訳ないけれど。


 はぁ、と大きいため息をついた浪岡君は「だからですよ」と気を取り直すように言う。

「一度二人きりでデートしてみましょう? それで、ちゃんと男として認識してもらいますから」

「え? ええ⁉」

 戸惑う私の代わりに、隣に座る愛良が「でも」と口をはさむ。


「二人きりとか良いの? 今は厳戒態勢中でしょう? お姉ちゃんも気を付けてってこの間田神先生に言われたばかりなんだよ?」

 そうだ、愛良の言うとおりだった。

 少なくとも二人だけとかは絶対に許されないと思う。