「もちろんですよ。聖良先輩も仮装するって聞いてましたから」

 そう言って改めて私のメイド姿を見た浪岡君は、嬉しそうに笑った。


「見に来て良かった。可愛いですね、聖良先輩」

「え、あぅ。ありがとう……」

 突然の誉め言葉に照れてしまう。


 すると今度は俊君が話し始めた。

「でも可愛すぎて困りますね。他の男にも見られるとか……閉じ込めたくなっちゃいますよ?」

 いたずらっぽく言うから冗談だとは思うけれど、閉じ込めるとかはちょっと怖いよ。


「あ、ははは。もう、そんなお世辞言ったってなにも出ないんだからね」

 軽くそうかわすと、二人が揃って不機嫌な顔になる。


「お世辞なわけないじゃないですか」
「俺達の告白、まさか忘れてませんよね?」

 浪岡君、俊君の順にそう言ってジトッとした目で見上げられた。


「うっ……いや、忘れてはいないんだけれど……」

 でも二人が私を好きとか実感がわかないって言うか……。


 何と答えれば良いのか目を泳がせていると、何かを察したらしい二人はため息をついた。

「分かってますよ。だからこうやって機会があれば口説くことにしてるんですから」

 俊君がそう言って私に手を伸ばす。

 飲み物を置いた私の手をとって、唇を押し付けた。


「っ⁉」